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べんきょうしよう

映画と音楽とアイドルと

フリースタイルダンジョンを観ています

大ブームですね、フリースタイルダンジョン。いつからかわからないけど私もブームに乗って見始めました。ちょうど半年くらいかな。見始めた頃はYouTubeにまだアーカイブが残っていたので飽きずに全部観ちゃいました。

ヒップホップはあんまり詳しくなくて、最初は小中の頃にRIP SLYMEを好きになり、そこからKREVARHYMESTERとかZEEBRAをちょっと聞いた程度。ラップって面白いなぁと思って、ちょっと頑張っていとうせいこうを聴いて「ジャーナリスティックでさいこう!」と感動した覚えがあります。そこからキングギドラの「空からの力」までは聴きました。でもアングラ的なイメージもありそれ以上はあまり聴けなかったのですが、そのいとうさんが出ているということも後押しになりフリースタイルダンジョンの視聴に至りました。

一応、軽く説明すると、フリースタイルダンジョンとは、テレビ朝日の音楽番組で、有象無象のラッパーたちが、「モンスター」となるラッパーと即興(!)でラップを使って、口喧嘩?をして、勝敗を決めるというフリースタイルでバトルをして、勝ち抜きを目指すという構成になっています。

それで、まだ全然詳しくない今の時点の私が、フリースタイルラップバトルについて「ここがおもしろい!」「私はここが好き!」って思ったところを忘れないようにメモします。

※9月14日のフリースタイルダンジョンの感想を含みます

 

思ったこと:どうも、「ライム・フロウ・パンチラインバイブス・風格・対話・即興力」みたいな要素でバトルしてるらしい。(他もあるかもです)

「ライム」っていうのは、韻のこと?韻を踏むことみたいです。ある種の基本じゃないでしょうか。ある種のラッパーの特殊技能的な側面があるだろうし、単純に韻を踏んでいると聴くほうが心地いいです。かっこいい韻がビシっと決まると最強に気持ちいいです。「フロウ」というのはリズムに対しての言葉の乗せ方?なのかな。これも心地よくリズムに載せていると気持ちいい。

パンチライン」は決め台詞的な、最高にかっこいい言葉のラインです。これはヒップホップだけじゃなくて、普段のツイッターとかでもふらっと現れてパンチライン炸裂させるひとっているなって思ってます。なんか上手いことを言えているってことなのでしょうか。

バイブス」っていうのは、言葉に感情とか熱量をどれだけだせるか、っていうものみたいで、単純なようにみえて、これが一番「すげえ・・・」って思ったりします。よく若者が言う「エモい」っていうのとおんなじ気もします。「風格」っていうのは、説得力というか、ヒップホップの競技なので、ある種の「生き様」っていうのも採点要素に入っているみたいで、例えばチャラチャラしたやつが「ナイフ隠し持つ」と歌っても説得力がありませんが、MC漢さんみたいなひとが「ナイフ隠し持つ」といったらかっこいいです。説得力があります。

それとフリースタイルバトルっていうのはラップを使った口喧嘩らしいので、勿論「対話」能力も求められます。相手の言ったことにしっかり返せているか、説得力のある言葉を言えているか。8小説のうち一部に返す場合もありますし、全部拾っていく場合もありますが、後者は対話能力の高いラッパーということでしょう。そして、即興バトルであるので、「対話」などを含め明らかに即興であるラインは評価されるわけです。その場にしかないもので韻を踏んだり、アクシデントをネタにしたり、かかっているトラックを引用して踏んだりして「即興力」を示すと、評価されているイメージがあります。

私が面白いと思ったのは様々な理由があるのですが、その中でも、これが大きな2つの要素を含んで絡み合っている点に惹かれました。

 

良いなと思ったところ:「ヒップホップ」と「フリースタイル」のアイデンティティ

どうも、この即興でラップでバトルするという「フリースタイル」は、初めはヒップホップをやるラッパーが「こんなおもしろいこともできるよ!」という特殊技能を生かした遊びとして始まったみたいです。*1 そんな難しい説明をしなくても、即興でその場で韻を踏んで言い合ってるだけで最初は「すげえ!」となります。そういうことです。初めてRHYMESTERの曲を聴いた時、そのスキルだけで「凄い」と思いましたが、韻を踏むということを即興でできるわけです。すごいしかっこいいじゃないですか。ただ最初はあくまで「遊び」だったわけで、バトルしている人はラッパーとしての特殊技能を持つことが求められていたわけです。これが韻を踏むこと=「ライム」だったり、かっこよくリズムに乗ること=「フロウ」だったりするわけです。それから、ラッパーらしくあればあるほどいいわけですから「風格」みたいなことは勿論重要です。これが「ヒップホップ」のアイデンティティです。*2

そこから、「フリースタイルバトルは面白い!」ってことで、ある程度競技として独立して、発展していくわけです。そうするとどうなるかっていうと、「韻を踏むのって凄いの?」ってなっていくわけです。つまりどういうことかというと、あらかじめ考えてくれば、韻は踏めてしまうわけです。一見即興のようには見えるけど、かっこいい韻を踏むことにこだわって、上手く「ネタを仕込んで」来るわけです。今日(9月14日)のフリースタイルダンジョンでも、そういう話が出ていました。そうすると「対話力」「即興力」が大事じゃない?韻をかっこ良く踏むだけなら、バトルじゃなくともいいでしょ、音源でいいでしょ、ってことです。ということになっていきます。これが「フリースタイル」のアイデンティティじゃないかと私は思います。

私が面白いと思ったのは、この2つのアイデンティティのぶつかり合いとか、交じり合いです。価値基準が一つだけであると、いかに上を目指すか、みたいな競技になってしまいますが、必ずしもそうではない。色んなスタイルのラッパーがいます。例えば、「ライム」が固いラッパー。魔法のように音をはめる「フロー」が上手いラッパー。相手の言葉をひたすら拾って返して、「対話」していくラッパー。韻を固く踏まなくてもいいという価値観があると、韻を踏む代わりにいかにかっこいいラインで返すか、という「パンチライン」がすごいラッパーというのも出てくるみたいです。そして、それらがじゃんけんのように、様々にからみ合って戦っています。一人のラッパーが「お前のラップ全部ネタ仕込んでる」とふっかければ「いやお前はそもそも韻が踏めてねえ」とかえしたり。この価値基準が一つだけだと、より固い韻のほう、あるいは対話が上手いほうが強い、ということになりますがそうはなりません。また勿論一点特化だけじゃなくて、このすべての要素のバランスで、どれくらいライムを固くして、どれくらい対話するか、とか、フロウを重視するか、ただ時にはそれから外れてもバイブス満タンでことばを放つか、みたいにさじ加減は様々です。戦ってみるまでわからないようなところがありますし、Aで負けてもBで勝つ、みたいなのがあるから楽しいです。

 

とはいえ:好きなラッパー

ただ、初心者であると、誰がいいラッパーか、上手いラッパーかっていうのが、だからこそわかりづらくて難しいです。初心者はやっぱり耳障りのいい、韻を踏めているのを明らかに「かっこいい」と思ってしまうわけです。それで例えば「スナフキンさんかっこいい・・・」となって見にいくと「明らかにネタだろ・・・」「ネタクソだな・・・」みたいなのがコメント欄とかに書かれているわけです。コメント欄にかかれていたって好きなものは好き!でいいのですが、最初は「完全な即興!」と思って聞いているわけで他の動画などをみて同じラインがあるとテンション下がるわけです。それで揺り戻しで対話が上手いラッパーさんや、パンチライン重視のラッパーすごい!ってなるわけですが、それはそれで耳の心地よさとかライムに対する感動にものたりなさを感じます。完全な即興でも「だけれど」とかが繰り返されるよりは踏んでたほうがかっこいいなとか思っちゃうわけです。

本日の放送で、ダースレイダーさんが言っていたように、ネタを仕込むのも悪いことじゃなくて、スタイルだから、頭のなかに言葉のストックがあって、それを適切なタイミングで吐き出すのも技能(うろ覚え)的なことを言っていました。おお、それはなるほど!と思います。だから結局はバランスなわけで、「ライム」が固いことはある種「ヒップホップ」のアイデンティティを強め「フリースタイル」のアイデンティティを弱めているわけです。逆に韻をあまり踏まない対話型は「フリースタイル」のアイデンティティを強め「ヒップホップ」のアイデンティティを弱めているわけです。それはどちらも間違っていないわけで、聴くほうがどのバランスが好きかってことだと思います。

と、フリースタイルダンジョンを見だしてから、「フリースタイルバトルってなんだ?」「ヒップホップってなんだ?」「何が上手いってことなんだ?」となっていたので、今考えていることをまとめてみたわけです。

 

今のところは:DOTAMAさんが好き

www.youtube.com

今は相手に対して返すし、韻もそれなりに踏むし、パンチライン的なのもあるし、バランス的にDOTAMAさんが好きです。後々この好みがどう変わっていくか楽しみです。どのMCさんも見てて面白いんだけど・・・!

 

 

 

 

あと:ダースレイダー(審査員)最高

わかりやすくて最高です。レギュラーになってずっと解説してほしい。

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*1:韻を踏むことが特殊技能

キングギドラの「空からの力」が日本語ラップの押印主義を作り、その制約のもとでラップすることがアイデンティティとなったみたいなブログが面白かったです。あとこれ

*2:ヒップホップのアイデンティティの崩壊

MC松島氏が、ヒップホップの一要素であるフリースタイルが独立することによって、ヒップホップが本来の価値観から離れているというブログを書いていて、それは面白いなと思った。観ていて感じたのは離れているというより、「ヒップホップ」のアイデンティティと「フリースタイル」のアイデンティティのぶつかり合いなんじゃないか、ってのが今日のブログでもあるわけなんですが