べんきょうしよう

映画と音楽とアイドルと

きのこ帝国野音

滝のような爆音を聴きながら、私は人間はいつまでたってもずっと、孤独なのかもしれないな、と思った。


私を包んでいるのは音楽だけで、たとえ目を閉じてもずーっとなり続ける。目を開けると雨粒に反射したライトの光が見える。音は鳴っている。もし前につまづこうしても後ろに倒れようとしても私はきっとこのまま、ここにいるだけだ。ここにあるのは音と、佐藤さんの言葉、私の思考。思考だけ。

新曲。聴いたことのないメロディー。前奏はフィッシュマンズのような感じもする。彼女が云う、10年後も100年後も一緒にいるあなた、とはもしかしたら佐藤さん自身のことなのかもしれないな、なんて勝手に思った。
大切な人がいる。同じ時に同じようなことを思うような大切な人がいる。もし、あなたとずっといたい、と思ったら、同じように、きみとずっといたいなんて思ってくれる人がいる。でもそれは厳密には同じ気持ちじゃない。もし大切な「あなた」に対してずっといたいと思ったら、その「あなた」は「ぼくとずっといたい」って思わなきゃいけない。だってそうでしょう。「あなたが好き」と同じ気持ちは「きみが好き」じゃなくて「ぼくが好き」だ。僕らはみんな相手のことを考えているつもりで、ずっとどこかで自分のことを考えている。同じ気持ちでいたい、なんて思うけど、本当は同じ気持ちじゃなくて、私のことを考えて欲しい、なのかもしれない。だけどそれじゃあ寂しすぎるから「私とあなたでずっと一緒にいたい」って思う。ちゃんと自分のことも考える。そしたらあなたも「君と僕でずっと一緒にいたい」って思う。これでおんなじ気持ちだ。孤独だ。人はいつだってひとりぼっちのままだ。
 
アンコール、佐藤さんがまた出てきた。なんだか彼女はとても楽しそうだった。あーちゃんも、谷口くんも、コンくんも、楽しそうだった。彼らはおんなじきもちなんだろうか。きっとそうではないと思う。
拍手はまだ鳴っていた。3度目に顔を出した彼らはまた楽しそうに、国道スロープを演奏し始めた。観客の手が、初めてあがる。自分の前や後ろにこんなに沢山の人がいたのかと思った。知らない女の子の顔が見えた。彼女は楽しそうだった。気づけば私も手をあげていた。でもなんか違う気もして、下げた。曲が駆けている。上がっている手も下がっている手もある。多分私は、とても楽しかった。おなじ気持ちで、おなじ歌を聴いているのだろうか。多分違う。でも、なんだか、違う気持ちのままで、ひとりぼっちのままで、人は幸せになれる気がした。
きのこ帝国のライブに行った。
 

1.猫とアレルギー
2.35℃
3.パラノイドパレード
4.畦道で
5.ハッカ
6.夜鷹
7.クロノスタシス
8.夏の夜の街
9.夏の影(新曲)
10.海と花束
11.足首
12.WHIRLPOOL
13.ミュージシャン
14.夜が明けたら
15.クライベイビー
16.東京
 
ec1.
17.疾走
18.明日にはすべてが終わるとして
 
ec2.
19.国道スロープ