1年が過ぎました
大好きです。そしてこれはただの私の思想だから、私以外の誰が読んでも意味がない。でもあなたに絶対書かなきゃいけないと思った。ほんとうはもっと早く書くべきだったのかもしれないね。昼にもいろんなことを考えて書いてみたけれど、消した。そしてこういうありきたりな言葉になってしまう。でもね、結局のところ、みんなが色々前向きな言葉を言ってくれても、笑ってくれても、黄色とかオレンジの花と赤いベンチとに手を合わせてみてもいやいやなんで手なんか合わせてるのかな?っていうふうで、私の方は全然全くまだまだ現実のような気がしないのです。
宙に浮かんだままで、紐の先を、誰も持っていない風船みたいになんだか前よりもぼんやりとしちゃって、心もとない気持ちです。いなくなったわけではなく、あなたがいる世界の中に、いないという事実があとから存在して横たわっているような気がしている。あなたがいることとあなたがいないということは相反することなのに、どちらも成り立たない2つの事柄が同時に胸の中にあって、でも観たステージにも出てこなかったし、しばらく新曲を聴いていないなぁと言う気持ちが、そうなんだろうなぁ、と類推させる。もともと友達とかでもなくてただ音楽のむこうにいる人だったからなおさらわかっていないのかもしれない。音楽はいつだって変わらずに私のなかにある。減ったり増えたりしないでずっとここにある。
あの頃は、もしかしたら今も、ずっとね、ふざけたり、テキトーに喋ったり、なんにも本当のことなんか言わないままで過ごしていたから、「明るいね」なんて言われてみちゃってもして、ぜんぜん違うほんとうのところはどこにもいなくなってしまっているような気がして、
たとえば、かなしいことが本当に起こったとき、人一倍暗くてネガティブだから、前もってそれよりもかなしいことを準備しているから、全然平気でいられて、だって現実は考えるサイアクよりはさ、たまにはほんの少しだけよかったりもするじゃんか、考えるよりはましだよね、世界は美しいもん、だってってにこにこ笑っていたら「ポジティブだね」なんて言われちゃって、世界にたった一人ぼっちな気がしても。
絶対にあなたの音楽だけは近くにいてくれて、だから私はそれをお守りのようにして。ぼくらのヒーローに歌わせてくれたみんなのうたのことを、まるで私の歌のようにして、ずっとずっと毎日いつでも取り出せるところにしまっておいた。「僕たちは何だか全て忘れてしまうね」私もそうだし、あなたもきっとそうだったんだろうと思う。だから時々取り出して唱える。Joy!Joy!
赤い公園の音楽や、あなたの作った音楽が増えるたびに、私のお守りは少しずつ増えていって、そのお守りたちは、私に足場みたいなものをくれた。なんとか一人でも立てるようになった私は、世界が美しいということを思い出せる日が多くなって、映画だとか、ともだちだとか、他の音楽だとか、また別の偶像だとか、他のお守りも持てるようになっていった。なっていったんだよ。それはあなたが私の2年かそこら先から、大丈夫だよ、行こうぜ、って旗を振ってくれていたから。私はあなたの歌や、歌われる思想がある世界のことを肯定できたし、好きでいることができた。今考えると、私は同じように旗を振り返してあげることはできていたのかしら。
だからね、やっぱり、今は、ふわっと飛んで行っちゃった風船みたいになっちゃって、先を照らす光みたいなのが見えなくなっちゃって、訳がわかんなくなっちゃって、世界ってなんだったのかな、みたいなふうに考えたりなんかして。そうしていて、私はずっとあなたの音楽に頼りきりだったことに気づく。今だって、ぼんやりとしちゃっているままだし、多分それはこれからもそうだけど、だとしたら、あなたが私を救ってくれたようには、私はまだ誰も救えていなくて、でもそうしなきゃいけないんだとわかる。だってそういうことでしょ、勝手にだけど。
いや、そんなことってできるのか?できないような気がするなぁ、なんて思いながらあなたの音楽を聴いて、そしたら本当に意味がわからないくらい素敵すぎて、ちょっと笑ってしまう。私もおんなじように出来るかはわからないけど、きっと出来ないけれど、とりあえずこんな素敵な音楽があるんだよ、ってことだけは世界中のともだちに伝えたいな、と思う。そしてあなたが引っ張ってくれたように、きっと私が今度は誰かを引っ張るばんなのかも、と勝手に思ったりしています。
私は知っている。やっぱり私たちはすぐに忘れてしまうこと。忘れたような気になってしまうこと。でもあったことは嘘じゃないし、なくなったりしないことを信じている。別に忘れてしまったとき、何もかもサイアクで、なにもないように見えたとしても、あったことも、世界が美しかったことも嘘じゃない。とりあえず今はそういうふうに思っています。
もしかしたら、明日の私もきっと忘れちゃうけど、忘れかけちゃうかもしれないけど、とりあえずあなたの年齢に追いつくくらいまでは頑張ってみようと思います。えら。ハードルが高すぎる。
初めてHOPEを買いました。パッケージこんなに開けづらいのかよ。あなたがいないことに泣きながら、あなたのいたことを愛しています。君の旅がどうか美しくありますように。いつも今日もありがとう。大好きです。
【音楽】2010年代マイベストアルバム
マイベスト。
1アーティスト1枚にしました。気が向いたらレビューをくっつけます。
50.吉澤嘉代子『女優姉妹』(18)
49.ZAZEN BOYS『すとーりーず』(12)
48.BUMP OF CHICKEN『COSMONAUT』(10)
47.小島麻由美『路上』(14)
46.YUI『HOLIDAYS IN THE SUN』(10)
45.サニーデイサービス『DANCE TO YOU』(16)
44.Tomato n' Pine『PS4U』(11)
43.Perfume『JPN』(11)
42.Cocco『アダンバレエ』(16)
41.・・・・・・・・・『「 」』(18)
40.tofubeats『lost decade』(13)
39.sora tob sakana『sora tob sakana』(16)
38.吉井和哉『The Apples』(11)
37.bloodthisty butchers『youth(青春)』(13)
36.ASIAN KUNG-FU GENERATION『マジックディスク』(10)
35.cero『Obscure Ride』(15)
34.The Birthday『I'm just a dog』(11)
33.毛皮のマリーズ『THE END』(11)
32.大森靖子『絶対彼女』(13)
31.東京事変『スポーツ』(10)
30.PUNPEE『MORDEN TIMES』(17)
29.Enjoy Music Club 『FOREVER』(15)
28.坂本真綾『Driving in the silence』(11)
27.ねごと『ex Negoto』(11)
26.くるり『THE PIER』(13)
25.木村カエラ『MIETA』(14)
24.堀江由衣『秘密』(12)
23.アイドルネッサンス『アワー・ソングス』(16)
22.イロメガネ『37.2℃』(16)
21.安藤裕子『JAPANESE POP』(10)
20.クラムボン『triology』(15)
19.AL『心の中の色紙』(16)
18.ラッキーオールドサン『ラッキーオールドサン』(15)
17.チャットモンチー『共鳴』(15)
16.折坂悠太『平成』(18)
15.赤い公園『公園デビュー』(13)
14.宇多田ヒカル『Fantôme』(16)
13.七尾旅人『リトルメロディ』(12)
12.阿部真央『ポっぷ』(10)
11.カネコアヤノ『燦々』(19)
10.Homecomings『SALE OF BROKEN DREAMS』(16)
9.青葉市子『qp』(18)
8.Special Favorite Music『World's Magic』(16)
7.後藤まりこ『m@u』(13)
6.サカナクション『DocumentaLy』(11)
5.ミドリ『shinsekai』(10)
4.きのこ帝国『フェイクワールドワンダーランド』(14)
3.YUKI『うれしくって抱きあうよ』(10)
2.andymori『ファンファーレと熱狂』(10)
1.ふくろうず『砂漠の流刑地』(11)
【音楽】お久しぶりです、ゼロ年代
2000年代マイベストアルバムを選びました。気付いたら2000年代ももう遠くなり、やっと振り返れるようになりました。
ケトルがゼロ年代特集をやったり、なんでも枕詞に「平成最後」って付けられるからそうではなくて西暦区切りのランキングをまとめておきたかったり、という意識もなんとなくあったのですが、2年くらい前に90年代の50枚を選んだので、ずっとやろうやろうと思っていたので、そろそろだと思ってやりました。
yama51aqua.hatenablog.com
来年は2019年なので、皆さま10年代まとめをするだろうから、今のうちに。改めて聞き返してみると、思ったより好きなアルバムが多くて驚く。多分私はゼロ年代の音楽を1番聴いていたのではないんじゃないかな。悩みに悩んでしまったので、前回はやりませんでしたが1アーティスト1枚に絞りました。もう観るとロキノン系の時代で、当たり前にしょうがないことだけどここの50枚もロッキンオンの影響を強く受けている(あとほんの少しスヌーザー)。少し古い感じもするけれど、古くなるからと言って、大事な宝物はそのまま大事だということを選び聴きながら、改めて思い返していました。なんだかんだ、好きっていうのを基準に選んでしまった、懐かしくて少し愛おしい感じです。みんなのが観たい。
50.cymbals『That's Entertainment』(00)
49.木村カエラ『CIRCLE』(06)
48.エレファントカシマシ『扉』(04)
47.STEADY&Co.『CHAMBERS』(01)
46.BEAT CRUSIDERS『P.O.A.-POP ON ARRIVAL-』(05)
45.山本精一と不思議ロボット『Mind Game O.S.T.』(04)
44.サンボマスター『サンボマスターは君に語りかける』(05)
43.ザ・クロマニヨンズ『MONDO ROCCIA』 (09)
42.rei harakami『lust』(05)
41.大槻ケンヂと絶望少女達『かくれんぼか鬼ごっこよ』(08)
40.曽我部恵一ランデヴーバンド『おはよう』(07)
39.ART-SCHOOL『Flora』(07)
38.Blankey Jet City『Harlem Jets』(00)
37.Garnet Crow『first soundscope〜水のない晴れた海へ』(01)
36.Base Ball Bear『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』(09)
35.ハナレグミ『日々のあわ』(04)
34.いきものがかり『桜咲く街物語』(07)
33.ハンバートハンバート『11のみじかい話』(05)
32.ASIAN KUNG-FU GENERATION『ワールドワールドワールド』(08)
31.安藤裕子『Merry Andrew』(06)
30.JUDY AND MARY『WARP』(01)
29.トクマルシューゴ『EXIT』(07)
28.GRAPEVINE『イデアの水槽』(03)
27.Cocco『サングローズ』(01)
26.aiko『秘密』(08)
23.Thee Michelle Gun Elephant『SABRINA HEAVEN』(03)
24.堀江由衣『黒猫と月気球をめぐる冒険』(01)
23.Tommy Heavenly6『Tommy Heavenly6』(05)
22.スーパーカー『Forturama』(00)
21.the pillows『Smile』(01)
20.銀杏BOYZ『DOOR』(04)
19.くるり『ワルツを踊れ Tanz Walzer』(07)
18.ゆらゆら帝国『空洞です』(07)
17.GOING STEADY『さくらの唄』(01)
16.RIP SLYME『TIME TO GO』(03)
15.bloodthirsty butchers『birdly』(04)
14.Perfume『⊿』(09)
13.andymori『andymori』(09)
12.相対性理論『シフォン主義』(08)
11.Number Girl『サッポロ OMOIDE IN MY HEAD状態』(03)
10.キリンジ『3』(00)
9.中村一義『ERA』(00)
8.YUI『Can't Buy My Love』(07)
7.YUKI『Joy』(05)
6.BUMP OF CHICKEN『orbital period』(07)
5.坂本真綾『少年アリス』(03)
4.フジファブリック『CHRONICLE』(09)
3.チャットモンチー『耳鳴り』(06)
2.宇多田ヒカル『Heart Station』(08)
1.クラムボン『3peace〜live at 百年蔵』(06)
【音楽】ベイビーレイズJAPAN『THE BRJ』
「大人になりたくないよ」とあがいてみたところで、そりゃいつかは大人になる訳だけだけど、本当に本物の大人になってしまうほんの少し前のその季節をどう過ごすかというのは案外大切なことなのかもしれない。
ベイビーレイズJAPANは特異なアイドルだ。いや、正確にいうと特異なアイドルになってしまったというのが正しい。ぼこぼこと穴だらけになってしまったアイドルシーンの中で、ただそこに立ち続けることが美しい。何も分からないまま歌い始めた少女たちは、遂にただ歌い続けるということをアイデンティティにしてしまった。
まずアイドルアルバムとして素晴らしい。マニフェストを掲げる1曲目から、夏フェスや夕暮れなどのライブシーンを意識させる中盤、そこからギアを入れて歌をメッセージに変えていく終盤。短いながら、普段の彼らのライブのセットリストを見るようで、円熟味すら感じさせる。
リード曲でもありラストを飾る「僕らはここにいる」が傑作。アイドルが"手の届かないもの"から、"会いに行けるもの"に変わり、テレビで観る"みんな"のものから"僕ら"のものになるにつれて、ソロアイドルも少なくなりグループアイドルばかりになった。そんなアイドルブームの中でも、はじめから終わりまで変わらずおんなじメンバーで駆け抜けることは殆どない。見ていた夢も、叶えた夢も、挫折した夢も、もしかしたら最初は無理矢理に見ていた夢もあるかもしれない。出会った人も先に倒れた人もいるだろう。でも、それでも選択を繰り返して、誰一人いなくならずに同じ場所に立っている。ピンチになるといつも助けてくれる、戦隊もののヒーローみたいに立っている。でもそのヒーローは、おんなじ星を目指して集まった、仲の良いキラキラした同士たちじゃなくて、好きなものも服の趣味もバラバラで、ボロボロになりながらもしかしたら分かり合えないままそれでも立っている"アンチヒーロー"なのだ。『THE BRJ』は、そんなアンチヒーローの決意を歌った、コンセプト・アルバムだ。発売から1年ほど経ち、更にグループや彼らを取り巻く状況は変わったけれど、アルバムで歌われているものはなお色褪せずにその強度を増したように思える。もし"ここ"の場所がそこから、別のどこかに変わったとしても。大人になる前の一瞬のその季節の想いは、今も自分のここにはっきりと伝わっている。
1.何度でも
2.首ったけエンジョイサマー!
3.スパイラル
4.アンチヒーロー
5.僕らはここにいる
ベイビーレイズJAPAN「僕らはここにいる」【日比谷野音2018】
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【音楽】3月31日坂本真綾好きな曲ランキング
毎年今好きな彼女の曲を書くだけのブログです。
去年のはこれ。
10.たとえばリンゴが手に落ちるように(3rdミニアルバム『Driving in the silence』収録)
大好きな冬のアルバムから。 「きみはどうしたい?」という問いかけを反芻しています。
9.パイロット(2ndアルバム『DIVE』収録)
この曲は特に映画のような情景が浮かぶので好きです。
8.猫背(『シングルコレクション+ ミツバチ』収録)
去年も選んだ気。岩里祐穂×菅野よう子×坂本真綾という魔法について、いつまでも考えています。
7.まきばアリス!(4thアルバム『少年アリス』収録)
好きな哲学がつまりまくっています。
6.CLEAR(27thシングル『CLEAR』収録)
最新シングルが好きなのっていい。聴いているとなんだかある友達のことを思い浮かべます。
5.なりたい(8thアルバム『シンガーソングライター』収録)
誕生日のうた。今"新しい闘い"の気持ちなのかもしれません。
4.光あれ(4thアルバム『少年アリス』収録)
人気曲の1つ。私は最近人の年齢というものを考えてしまうのですが、この曲は彼女が私と同じ年齢の時に書いたもの。今だから感じる気持ちがあります。
3.DIVE(2ndアルバム『DIVE』収録)
私は彼女のアルバムの中でも『DIVE』が群を抜いて好きなのですが、その表題曲。この曲を聴いたまま溶けて何もわからなくなってしまいたいと思う瞬間があります。
2.I.D.(2ndアルバム『DIVE』収録)
私のオールタイムベスト。 なんとなく毎年手帳にこの曲を挟んでいます。
1.僕たちが恋をする理由(2ndミニアルバム『30minutes night flight』収録)
”君の哲学に触れるとき 一番好きな自分になる"という一節が本当に好き。最近、人の哲学に触れて、好きな自分を見つけて、それが生きていくことなのかもって思ってます。坂本真綾という歌手は、ずっと哲学について歌っているのだなと、今の私は感じています。
ということで。好みは去年と同じところも、違うところもありますが、続けてやってみると面白い。
坂本真綾さん、お誕生日おめでとうございます。歳を重ねる度に素敵になっているので、私もあなたみたいに歳を重ねていきたいなとほんとうに思っています。生きることって楽しいのかもって、少し思える。
【音楽】2017年ベストアルバム
10.・・・・・・・・・『 』
9.V.A.『ウルフルズTribute~Best Of Girls Friends』
8.17歳とベルリンの壁『Reflect』
7.ねごと『SOAK』
6.YeYe『MOTTAINAI』
5.ベイビーレイズJAPAN『THE BRJ』
4.PUNPEE『MODERN TIMES』
3.三浦透子『かくしてわたしは、透明から始めることにした』
2.ふくろうず『びゅーてぃふる』
1.YUKI『まばたき』
【総評】
なんとなく毎年選んでいるんだけど、今年は特に自分が好きかということを考えながら選んだ。ランキングに入っていないものも含めてタイトなアルバムが多かった印象がある。⑩『 』(タイトルはないらしい)もタイトなコンセプト・アルバムだった。都市のノイズと音楽のノイズ、そして人々のノイズ、アイドル。アルバムだけでTOP10入りするかは微妙かもしれないが、2017年を象徴する作品の一つだったように思う。⑩もそうだが、⑧『Reflect』も素晴らしいシューゲイザー・アルバムだった。90年代後半の音楽が好きな人とかはハマるかも。今年はシューゲイザーも多かったかもしれない。
自分なりにランキングが決まりかけていた頃に⑦『SOAK』ねごとがこれもまたタイトなアルバムで殴り込みをかけてきた。ねごとを出始めの頃何かがもっとまっすぐ評価していたら今のシーンは変わっていたかもしれない。どこまでも真摯に作ってあると思うけど、売れないだろうなぁ。⑥『MOTTAINAI』もしっかりしたアルバムだった。YeYeは枚数を重ねるたびに好みになっている。
そういうカッチリしたアルバムと反対に、今年はカバーものもビビッときた。選外のものだとストレイテナーのも好きだったけど、トリビュートから選ぶなら⑨『ウルフルズTribute~Best Of Girls Friends』。ウルフルズの曲を女性が歌うというコンセプトはこれ以上ないってくらい最高だ。想像してニヤニヤする通りのカバーが聞けてやっぱりニヤニヤする。全部気に入っているのだけどチャットモンチー「かわいい人」ふくろうず「バンザイ〜好きでよかった〜」阿部真央「ええねん」が特に好み。③『かくしてわたしは、透明から始めることにした』ひっそりと出た三浦透子のアルバムもカバー集。演じるときのあの空気感のまま歌われるサニーデイ・サービス「東京」とフィッシュマンズ「いかれたBaby」はずるい。女優のキャリアもこれから駆け上がっていくだろうから、後々こんなのあったの、とニヤニヤするアイテムになりそう。
アイドルのアルバムも傑作が幾つもあったが、⑤『THE BRJ』が良かった。ベイビーレイズJAPANは特異なアイドルだ。というより結果的に特異なアイドルになってしまったというべきだろうか。光と影、栄光と挫折。多くのグループが解散したり、脱退・卒業とぼこぼこ穴の空いたアイドルシーンの中で、そこに仲間と立ち続けることが美しい。"アイドル"というものを俯瞰しつつも、そこに立っている自分たち自身のアイデンティティを歌った傑作だと思う。
今年を語るならやっぱりパンピー④『MODERN TIMES』は外せないけれど、やっぱり心に響くのはその人自身を歌った歌だと思う。②『びゅーてぃふる』は彼らの3rd『砂漠の流刑地』以来の大傑作。おかえりふくろうず。内田万里という書き手が、久しぶりに内田万里本人に向き合った作品。それはまた聴いている人の心の壁をひっかくような切なくて優しい音楽だ。でも、帰ってきた瞬間いなくなる必要は絶対なかった。あなたの歌は素晴らしい。もっと聞きたいのに。
ふくろうずが「君はありのままでいいよ」と「言ってほしかった」*1 と歌うようにYUKIも①『まばたき』の中で「素直で明るいだけ人には価値がある」と「教えてよ」*2 と歌う。YUKIはそれでも全力で世界を肯定してみせた。だから大好きなバンドがいなくなっても、私はなんとかやっていこうと思うのだ。
次点は柴田聡子『愛の休日』Chara『Sympathy』sora tob sakana『cocoon ep』MONDO GROSSO、Corneliusなど。これをやると今年も終わりって感じがする、ありがとうございました!
2017年ベストアルバム
1.YUKI『まばたき』
2.ふくろうず『びゅーてぃふる』
3.三浦透子『かくしてわたしは、透明から始めることにした』
4.PUNPEE『MODERN TIMES』
5.ベイビーレイズJAPAN『THE BRJ』
6.YeYe『MOTTAINAI』
7.ねごと『SOAK』
8.17歳とベルリンの壁『Reflect』
9.V.A.『ウルフルズTribute~Best Of Girls Friends』
10.・・・・・・・・・『 』
【音楽】3月31日坂本真綾好きな曲ランキング
たまにはこういう意味のないエントリーも。
坂本真綾さんが好きです。特にここ数年は坂本真綾さんという人の音楽と一緒に生きてきました。彼女と彼女の音楽は私にとって時に宗教であり、時に哲学であり、生活であり、憧れであって、その日の天候や、季節や、体調や、仕事や、人間関係によって聴こえ方も響き方も違います。今日の私が好きな彼女の音楽と、明日の私が好きな彼女の音楽は違います。ここから並べるのは今日の私が好きな彼女の音楽です。それでは、行きましょう。
10.デコボコマーチ(隊列は君に続く) (21thシングル『モワザンワーズ』収録)
初めての恋は小鳥のように笑い 孤独はうつむいて
知りたかったことは 知りたくなかったことのいつも隣にいて
双子のように 同じだけ愛してほしいと私に言った
彼女の詞にある『孤独』というキーワード。けれど、その孤独を避けるのではなく、逃げるのではなく、坂本真綾は、他の色々なことと同じように向き合います。泣き虫もかなしみも喜びも、隊列組んで歩いていこうよって歌です。
9.eternal return (7thアルバム『You can't catch me』収録)
『You can't catch me』の1曲目を飾る疾走感あふれるナンバー。この曲のキーワードは「諦めたいのに 何度も何度も手を伸ばす」というところ。
8.猫背(『シングルコレクション+ ミツバチ』収録)
作詞岩里祐穂×作曲菅野よう子×のゴールデンコンビによる名曲。個人的にチャットモンチーの「ツマサキ」と対な気持ちで聴いています。
7.ポケットを空にして(1stアルバム『グレープフルーツ』収録)
ライブのラスト定番の曲。私の人生のテーマ。
「風が変われば僕の道さえ少しはましになるだろう」って気持ちで生きています。
6.シンガーソングライター(8thアルバム『シンガーソングライター』収録)
呼吸はメロディ かかとでリズムを それだけでもう音楽
フォロワーさんが歌うのを最近良く聴いたので、大好きになってしまいました。坂本真綾が好き、って言うと「声優さん?」みたいに言われることが多くて、勿論それは正しいのだけれども。私は彼女と歌というものの距離が、こんなふうに近いから、好きです。
5.うちゅうひこうしのうた(4thアルバム『少年アリス』収録)
これも同じく最近好き。小さい頃から憧れている無形の世界っていうものがあるならば、それは例えば、一倉宏(うちゅうひこうしのうたの作詞者)の詞世界のようなものなんじゃないかと思います 。
4.Gift(『シングルコレクション+ハチポチ』収録)
初期のナンバー。「ぼくらから夢奪えば さまよえる未来のクズになる」という一節が最近刺さりまくっています。
3.僕たちが恋をする理由(2ndミニアルバム『30minutes night flight』収録)
私は冬が好きです。それはオリオン星が見えるからかも知れませんし、風が冷たいからかもしれません。ともかく、冬の夜の下あるきながらこの曲を聴いていたら、なぜかふっと涙が出てきてしまいました。私が冬を好きなのは、寒くてとても寂しくなるからで、寂しいってってことは誰かのことを考えることで、そんなふうに一人で歩いている人たちは夜空を見上げながらめいめい誰かのこと考えながら、寂しく歩いています。だけど街には不釣り合いにクリスマスソングが流れていて、それがなおのこと寂しくさせていいです。冬が終わってしまいます。
そんなふうに街を歩いていると、なんだかそういうものに、とてつもなく敵わない気がするんですよね。私は坂本真綾が坂本真綾である気高さがずっと好きです。
「君の哲学に触れるとき 一番好きな自分になる」というのは、本当にそうだなと思います。
2.I.D.(2ndアルバム『DIVE』収録)
一番好きな曲です。(オールタイム)「I.D.」は彼女が自分の足で、小さくてあどけないけれど気高い一歩を、踏み出した曲だと思っています。私はこの詞を書いたときの彼女より長く生きているけれど、”こんなに自由で” ”こんなに確かな” 自分とまだ向き合えていません。すぐそこに居るのだけれど、まだあの空へと踏み出すには時間がかかるみたい。けれど、何かの節目に、いつもこの曲を聴いて、自分の足元を見つめ直しています。
1.Driving in the silence(3rdミニアルバム『Driving in the silence』収録)
君を好きになることは
自分を好きになること
自分を好きになることは
世界を好きになること
冬を歌った名盤、『Driving in the silence』の1曲目であり表題曲。「I.D.」も「eternal return」も好きなので1曲目が好きなのかな。この曲は、こんな歌い出しで始まります。私は自分をすきになれないので、もしかしたら、ちゃんと誰かを好きになったことはないのかも。この曲は、短い曲なのですが、この歌詞が、ここに連結します。
静寂を滑る ハンドルを握る
永遠に続く 孤独を握ってる
「君」を好きになって「世界」まで好きになっても、そこにあるのは「静寂」と「孤独」です。坂本真綾の詞には、いつも孤独がついて回ります。しかし彼女はやはり孤独を嫌いません。
でも隣にある
君の鼓動 細胞 存在
ただそこにいる
君の気配 輪郭 存在
先程の「僕たちが恋をする理由」と同じように、「孤独」の隣にあるのは悲しみなどではなく、「君の存在」なのです。冬を歌うアルバムがこの曲で幕を開けるのは素晴らしい。
ということで、今日の私の好きな曲を選んでみました。もう4月になります、冬も終わってしまいます。寂しい。そんな風に、また明日も坂本真綾を聞きます。
坂本真綾さん、お誕生日おめでとうございます。